ツェムリンスキー;人魚姫他 シャイー/ベルリン放送交響楽団他 [ツェムリンスキー]
本年はこの一枚から。
久々の更新である。今年最初の一枚、何を聴こうかということで意味もなく迷った(実はインバル指揮のブルックナー9番の予定だった-理由はそのうち述べることとなろう-)が、冒頭が静かで陰鬱であり、途中陽の光を感じさせるこの曲に落ち着いた。
人魚姫という標題から抱くイメージは人それぞれであろうが、はたして現在、元々この物語がアンデルセンの御伽噺であること、そしてその結末が人魚姫の死であることがどれくらい識られているだろうか。ツェムリンスキーによるこの作品も、華やかさの中にも死臭が漂い(初演後不評の声もあってか、もう1楽章を加え「死の交響曲」とする構想もあったという)聴き手はこの物語の内容について再認識させられることになる。
本盤には「人魚姫」のほかに「詩編第13番」と「詩編第23番」の2曲が併録されており、こちらも聴き応えがある。日頃聞かれることの滅多にない作品の音源として貴重。
本録音は「人魚姫」の世界初録音だったと記憶している。その後多くの録音がなされているが、シャイー指揮によるベルリン放送SOの演奏が秀逸であること、Deccaによる録音が超優秀であることから本盤は未だに同曲正規盤のファーストチョイスとして推せる内容だろう。
尚、上掲は初出時のもの。退廃音楽(ENTARTETE MUSIK)のシリーズとしてリリースされた。現在は再発により輸入盤・国内盤ともにデザインも変わっている。
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