ヒンデミット;歌曲集<死の死>Op.23a [ヒンデミット]
ヒンデミット;歌曲集<死の死>Op.23a
G・シュレッケンバッハ(A)
G・アルブレヒト/ベルリン放送交響楽団員
独Wergo WER60117
ヒンデミットを聴くきっかけとなったCDである。購入したのは20年程前だが、その当時、私は歌曲のジャンルには全く興味すらなかった。にもかかわらずこれを購入した動機は<死の死>という曲名に惹かれたため。当時から輸入盤狂だった私は当CDも日本語解説付きの直輸入盤と思い込み衝動買いし、ディスクに表記されたSANYO JAPANの文字を見てがっかりしたという思い出のディスクでもある。
さて、曲であるが、ヒンデミットとしては比較的初期の作品であり、一般的に知られる(ジャズ風・アバンギャルド風といった)彼の作風とは異なり、どちらかといえばシリアスな雰囲気もあり寧ろわかり易いものである。
<死の死>とはあくまで訳した人の表現であり、原語は‘Des Todes Tod’。
<死せる屍>といった訳も見たことがある。きっと正確な訳は難しいのだろう。
詩の内容についても西洋的概念・感覚がなければいくら日本語訳があったとしても正確には伝わらないのではないか、と思われる世界観であるが、これはこれで面白い。作品そのものについての印象も詩に対して抱いた感想同様、なにか簡単には入り込むことの出来ない、通常とは異なる世界を感じさせられ、ああ、日常とは違う文化に接しているな、と思わせるのである。
ただ、WERGOによる明晰な録音のおかげもあり、同曲の他のCD(実は持っている)と比べてもこのCDは最も万人向けだと思う。下を含めた収録時間34分台は短すぎるけど。
尚、このCDにはG・シュナウトの歌う<若い下女>Op.23bが併録されている。
こちらはまたの機会に。