カンチェリ;エクシール(亡命) [カンチェリ]
本カテゴリ、先回のブラームスにてちょっとまともな(メジャーなという意味)世界に戻ったかと思いきや、再びディープな世界に浸る。
- アーティスト: Christian Sutter,Rebecca Firth,Giya Kancheli,Wladimir Jurowski,Natalia Pschenitschnikova,Maacha Deubner,Ruth Killius,Catrin Demenga
- 出版社/メーカー: ECM
- 発売日: 2000/04/18
- メディア: CD
カンチェリ作曲;エクシール
演奏;M・ドイブナー(S)他
グルジアの作曲家、カンチェリの作品である。メジャーな存在とはいえないし、現代音楽及び作品傾向の位置づけとしては以前紹介したヴァスクスに近いかもしれない(国も近いといえば近いし)が、そのような位置づけやグループ分けは無意味かもしれない。
今回紹介する作品は<エクシール(亡命)>。
数点保有しているカンチェリの作品のなかでは最も気に入っている作品、及びCDである。
ソプラノ独唱・フルートをはじめとした小編成のアンサンブルという珍しい編成で、このCDでは約47分の長さである。
この曲(及び演奏)の印象を語るのは難しい。エモーショナリティというか、旋律的な要素や特徴は殆どない。全てを失ったというか、冷血というか、孤独というか、閉ざされた世界というか・・・とにかく甘さや温かさ、不要なもの全てをそぎ落としたような世界がそこには展開されるのである。弱音で始まる冒頭から極度の緊張を伴った冷たい響きは凍てつく刑務所を想起させる。
こういうのを孤高というのであろうか。
これは音楽なのか、という声もあるかもしれない。。。
少なくとも、これは独りで聴くのがいい。